タイの大麻解禁は景気のブーストなのか。

久しぶりのバンコクへ。
前回はコロナ隔離がなくなった初日に入国した。
あんなに賑やかだった街も、マスクを外した欧米人を少し見かけるだけで、ほとんどはマスクをしたタイ人が占めていた。
ゴーゴーバーに行っても、踊っている女性20人に対して、客は三人みたいなことが多々あり、視線に耐えきれず居心地が悪かった記憶がある。

あれから1年半。
タイはアジア初の嗜好用大麻を解禁しており、コロナ後の景気にブーストしている。
その甲斐あってか、航空券もホテルも軒並み値上がりしており、5年前に3万円台で往復できていたことが嘘のようだった。
屋台やレストランも日本で食べるのと値段はさほど変わらないところまで来ている。

さて、街は大麻ショップで溢れて、その数はマクドナルドより多い。
街を歩けば、ぷーんと大麻の香りが鼻を刺す。
その匂いの先を追いかけると、観光客がモクモクとやっている。
一応、公共のエリアでの喫煙は禁止となっているが、そんなのはお構いなしというのが現実だ。

昔からタイのホテルでは、チェックイン時に「ドリアン禁止」と念を押されたものだが、それに加え「大麻禁止」も付け加えられるようになった。

大麻解禁の先駆けとなったアメリカのコロラド州では、1年目からタバコと酒の税収を超えていた事実がある。
その新たな税金は、子供の教育や薬物依存者の治療などにも当てられており、ひと昔前の常識からはかなりズレてきている。

日本の場合、大麻と言えば悪そうなヤツや遊び好きなヤツが好むモノというイメージがこびりついているせいか、科学的根拠や世界情勢から説明したとしても、世間の目はまだまだ冷たい。
アメリカの場合、すでにゲートドラッグとして大麻が蔓延していた前提がある。
事実、2000年代にニューヨークで過ごしていた時も大麻の流通網が存在していた。
プッシャーと呼ばれる密売人から顧客へ届ける運び屋の仕事は、報酬が高いこともあり、意外と身近にいたことは現実にある。

そんなことを言っているのも束の間、先日タイでは大麻解禁へ見直し案が発表された。
解禁からたった1年半の出来事だ。

僕も詳しくはなかったので、これを機に色んな記事を見てみたが、「解禁されている」というより、「規制されていない」というのが現状のようだ。
そのため、この立法までの空白の時期に大麻産業が盛り上がってしまったというわけだ。

子供への健康被害や依存者への医療サポートなどは二の次。
まずは景気へのブーストを優先したことで、国を挙げての社会実験のようにも思えてくる。
もはやブーストではなく、ドーピングなのでは?
ハイになった微笑みの国タイ、今後も注目したい。

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