ローマの窮日。

2020年の元旦に訪れたのは、ローマ。
もはや旅行先としてはベタ過ぎて、一昔前のハネムーンのイメージが強い。
ただ、コロッセオやトレビの泉など一度は生で見たいキラーコンテンツが多数ある。

そんな理由で足を運んでみた。

ホテルに着いて早速荷物を開けると、レンズ破損。
元旦から縁起が悪い。

そして、ローマの第一印象はと言うと、あまりよろしくない。

渡航前に友人にローマに行くと言うと、「スリに気を付けろ」とか、「治安が悪い」とかあまり良いことを言う人はいなかったが、本当にその通りだった。
昼間はそんなに気にならないが、夜になると、ラリったやつが徘徊している。まるでゾンビのようだ。
そんなゾンビは絡んではくるが、噛み付いてくるわけではないので、適度に無視すれば特に問題はないが、いい感じはしない。

しかし、そんなネガティブなことを吹っ飛ばしてくれるほど、ダントツのコンテンツ力がここにはある。
そして、混雑もハンパない。

コロッセオもバチカン美術館もとてもチケットを買うために並ぼうとは思えないレベルで混んでいる。
ざっくり2〜3時間待ちの覚悟が必要だ。

あのお馴染みトレビの泉では、再訪を願い初詣のようにコインが飛び交う。
とてもじゃないが、トレビの神様も全員の再訪は叶えられなそうだ。

あのお馴染みスペイン階段では、ジェラートのゴミ問題により飲食禁止になり、座り込みも禁止となっている。
警備員が目を凝らし見張っており、少しでも腰掛ければ警笛を鳴らされる。
もはや、緊張感漂う窮屈な階段になっている。

このキラーコンテンツたちを撮影をするためにローマ滞在を4日も取ったが、正直こんな状態では不細工な観光ビデオにしかならないと思い、早々に諦めた。

ただ、唯一可能性があったのは、バチカン市国。
世界一小さな国ではあるが、バチカンの規模は想像以上にデカかった。

特に気に入ったのは、サンピエトロ広場。
ローマ法王の演説でよくニュースでも見かけるこの広場は、30万人を収容できる(と言われている)ほど巨大だ。

広場を囲むように柱廊があり、中を歩けば、さながら古代ローマの英雄のような気分が味わえる。
広場の中央にはオベリスクが立ち、周りにはキリスト生誕を祝いに訪ねる村人の人形が飾られていた。

ここはカトリックの総本山であり聖地。

聖地巡礼など、無宗教の僕には無縁で、けいおん!のロケ地巡りくらいしかしたことがない。
自分なりの巡礼という意味を込めて、どうしても映像を残したかった。

実際、これ以上の画力がある規模感と歴史を感じる場所は行ったことがない。
それと「聖地」という付加価値は正直たまらない。

ということで、次の日の日の出とともにバチカンへ再度向かった。
前日は寺院入場待ちの列が広場を一周するほど混んでいたので、どれくらいの人がいるかわからなかったが、さすがに早朝だけあり誰もいない。

まさに聖地独り占め!

早速REDをRONIN-Sに乗せ、撮影開始。
とにかく人がいないボーナスタイムで、このサンピエトロ広場の規模感を撮りたかった。

早朝ゲリラ撮影は旅先でよくやるが、ボーナスタイムはメジャーな場所であればあるほど、長くは続かない。
あまり欲張ると同じことを考えている後発隊が増え、早々に終わる。
なので、「適度に」こだわる程度でパッパと先に進むのが正しい。

そんなボーナスタイムも束の間、警官とパトカーの襲来。
こういう展開も観光地撮影では付き物だが、警備員ではなく、警察となると話は別だ。さすがに怯える。

「お前はプレスか?」
「撮影許可証は持っているのか?」
「どっから来た?」
「ビジネスか?」

と三人の警官に詰め寄られ、ボーナスタイムは45分で終了。

許可がいるなんて知りませんでした!すいません、もうしません!の平謝りが功を奏したのか、データの没収は見逃してもらった。

そして、その日の夜にトレビの泉に再訪。
「ちゃんと許可をもらって堂々とバチカン市国で撮影できる日が来ますように」とコインを投げ入れた。

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