アンコールワットの光と陰。

ロン島へ行く前に立ち寄ったアンコールワット。
シェムリアップ空港からホテルに向かうタクシーの中で「明日はアンコールワットに行くんだろ?俺が連れて行ってやる」と電話番号を書いた紙を渡される。
ノープランだったので、とりあえずお断りしてホテルで情報収集。
ホテルでチャーターしてもらう方が若干安かったので、翌日アンコールワットに行くことにした。

ホテルで呼んでもらったタクシーの運ちゃんは50代くらいの男性で、なかなか良さそうな人。
途中SIMカード購入と両替に付き合ってもらい、いざアンコールワットへ。
特に下調べもしてないため、行きたい場所の希望もなく、運ちゃんのおまかせで巡ってもらうことにした。

行ってみてわかったが、アンコールワットの遺跡群はとにかく広い。本当に広い。
基本的にツアー嫌いで自由に行動したいタイプなので、観光用のチャータータクシーなどお願いしたこともなく、パックツアーみたいで嫌だなと思っていたが、ここでは完全に正解。
各遺跡がとても歩ける距離になく、これを自力で移動するのは時間の無駄だし、暑さで途中で絶え死ぬ。
運ちゃんも慣れているので、「ここから入ってそのまま奥の出口から出たところで2時間後に待っている」というような敏腕ディレクター張りのアテンド。
「僕は映像だ写真だゆっくり撮りたいんだ」と最初わがまま言っていたけど、その所要時間も言っていたくらいでちょうどよかった。
途中でバテてくるし、よっぽど興味がある人以外は飽きてくるので、その辺もちゃんと計算されているようだ。

遺跡の詳しいことはウィキペディアを見て頂いた方が良いので割愛するが、サンセットスポットであるプレループまでのルートは完璧で、特にトラブルもなく巡ることができた。
僕はこの運ちゃんを気に入ったので、電話番号を聞いて、明日の空港送迎や、年明け後の空港のピックアップや、再度行ったアンコールワットなどもお願いした。

基本的にその国に着いて初めて会話を交わす民間人はタクシーであることが多く、その国の民度や信用度は大体そこで察する。

そして帰る間際、最後に運ちゃんがどうしても見て行って欲しい場所があると言って、僕を連れていった。
こういった場合は大抵、提携先の絹織物屋か、一体誰が買うのかわからない木彫りの置物屋で、一気に冷めることがほとんどだ。

だが、今回に限っては違っていた。

そこはキリングフィールドと呼ばれ、ポルポト時代に粛清の場となったところだった。
中には本物の人骨が生々しく展示され、その悲惨さを物語っていた。

そのせいで、この国ではほとんどの大人が息絶え、現在の国民平均年齢は24歳と異常に若い。(ちなみに日本の平均年齢は46歳で世界一位)
運ちゃんも初めて中まで一緒に付いて来て、自ら案内してくれた姿を見て、本当はアンコールワットではなく、ここを見て何か感じて欲しかったんじゃないかな、と思った。

なんとなく、今晩だけはお酒を控えた。

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