高尾山の紅葉と高揚のハーモニー。

V-RAPTORとの初デートは高尾山にした。
地方都市にゆっくり行くのもよかったが、僕の自己紹介も兼ねて、地元の八王子を選んだ。

高尾山は去年、都内初の日本遺産に認定。
少し前には、ミシュラン観光ガイド三つ星を獲得しており、人気が止まらない。
その甲斐あって年間の登山客数は260万人で、世界一の登山客を誇るほどにまで上り詰めている。

麓の再開発も進んでいて、しなびた商店街はすっかり様変わりしていた。
飲食店と駐車場は相変わらず少ないが、駅前には日帰り温泉なども出来ており、気軽にアウトドアを楽しめる都内随一の場所となっている。

昔の高尾山周辺といえば、ネオン輝くホテルが立ち並び、人目を避けた男女が集まる場所だった。
朝の駅では、ホテル帰りのカップルと爽やかな登山客が交差するなんとも気まずい空間だった。
登山客からしてみれば、「さぁ、登るぞ!」と意気込んで駅を降りると、まず目に入ってくるのはハーモニーというホテルで、さぞかし気分を害していたことと思う。
そんなハーモニーも再開発の波からか、クリーンでオシャレな観光客向けのファミリーホテルに様変わりしていた。

さて、高尾山に行くなら最もいい季節は、やっぱり秋。
特に紅葉の時期は、山が紅く染まりいつもとは違った姿を見せてくれる。
それゆえにこの時期の人出もハンパなく、週末の1号路は竹下通り並みに混む。
ケーブルカーも朝の始発から長蛇の列を作っているほどだ。
そんな中での撮影は困難と判断し、早朝を選んだ。

この動画のために登った回数は、ロケハンを含めて5回。
1ヶ月の間にこれだけ同じ時間帯に登っていると、やたら同じ人を見かける。
中には出勤前の朝活なのか、Yシャツ姿にブリーフケースを抱えながら登っている人もいる。

たまたま一緒に登った人に聞くと、早朝登山組には薬王院の御朱印スタンプラリーをやっている人が多くいるとのこと。
1冊21回のラリーを終えることで満行となり、境内に名前が貼り出される。
そこで飽き足らない人は2冊3冊と集めることで、プレステージを回していけるようなシステムらしい。
これは徳なのか、ログインボーナスなのか。

ただ、健康のためのルーティーンとしてやっている人がほとんどだと思うので、僕も麓に住んでいたらきっとプレステージマスターになっていると思う。

御朱印がある薬王院は山の中腹に佇む神社。
中でも僕が好きなのは、数千の木札が貼られた長い参道。
小さい頃からここだけはなんとも神秘的でテンションが上がる。

今でこそ年末年始は海外で過ごすのが恒例になっているが、その前は山頂で初日の出を見るというのが恒例行事だった。
極寒の中、元旦の深夜3時から登り始め、薬王院で初詣。
おみくじを引いて、その年の運試し。
そのまま山頂で御来光を拝む、というなんとも縁起の良いことをしていた。

ここに託したお願い事は、大体叶えてもらっている。
欲深くないことを託しているという僕の性格もあるかもしれないが、ご利益は抜群だ。
しばらく浮気していたことを懺悔しながら、7年ぶりに願いを託した。
さて、今年がどうなるか楽しみだ。




















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