ドローンとロン島。

2017年の年越しで訪れたカンボジアの秘境ロン島。
島での年越しは奄美大島、台湾の小琉球に続き三度目になる。

バックパッカーが集まる賑やかな島を想像して来たが、それは南側で、僕が泊まった北側はゆったりとした島生活を楽しむような場所で少し拍子ぬけた。

のんびり海を見ながら飲むコーヒーは格別だが、それが毎日となるとさすがに飽きてくる。

移動しようにもここには交通手段がチャーターボートしかない。
道もないし、電波も電気もたまにしか入らず、周りに店もないので、半ば軟禁状態である。

しょうがないので、道無き道を進み探索していると地元の子供達が通う小学校があり、(勝手に)お邪魔した。
中では少年達がサッカーをしており、(勝手に)参加した。

僕の唯一の特技は国内外問わず子供とすぐに仲良くなること。
10分後には、パス回しで遊ばれるくらい馴染んでいた。
それを見ていた先生も怪しいヒゲの部外者を受け入れてくれたようで、快く授業を見せくれた。

僕がいると気が散るようなので、学校を後にしバンガローに戻ると、地元の子供達が紙を持って何かを尋ねて回っていた。
僕のところにも来たので、見るとなんとドローンの絵が!

どうやらこの子たちは、この日の朝ドローンを飛ばしている時に通りがかった子たちに、「四角い物体を飛ばしている人」がこのバンガローにいると聞いて探し回っていたようだ。
そのピュアな心に感銘を受け、存分に飛ばして見せてあげた。

ここの子たちは、みんな常識がある。
ドローンは精密機械だというのをちゃんと理解しているようで、触らせてあげても乱暴には扱わない。
どうやら、ここのバンガローに来る旅行者に対して失礼のないようにしっかり教育されているようだ。

翌日。今日は大晦日。
早朝からドローンを飛ばしていると、まさかの海へクラッシュ。
海に落ちたはずなのに、なぜか自動で僕の元へ帰ってきた。
だが、それっきりうんともすんとも言わなくなった。

余談だが、僕はドローンに固有の名前を付けている。
Mavicだから「まーくん」とかそういうものではなく、ちゃんとした名前を付けている。
歴代のPhantomシリーズは「ヴィクトリア」という名前が付いている。
名前の由来は、初代Phantomが香港のヴィクトリアハーバーで墜落したことに由来する。
ドローンを飛ばしたことがある人ならわかると思うが、空飛ぶものがちゃんと健気に帰ってくる姿はとても愛くるしく、まるでペットのように思えてくる。
それで、彼を偲ぶ意味を込めて「ヴィクトリア」と名付けた。
現在は、「ヴィクトリア3世」と暮らしており、この日に「ヴィクトリア2世」が亡くなった。
そして、この日のことを歴代のMavicシリーズに引き継ぎ「クメール」という名前が付けられた。

ヴィクトリアのことを想い、バンガローでひとりセンチメンタルな気分で横になっていると、窓をコンコンと叩く音が。
外に出ると三人の子供たちが立っていた。
どうやらこの辺の子供達の間で、この部屋に「ドローンおじさん」が住んでるとシェアされているらしく、ドローンを見たいと訪ねてきたようだ。
と、言われてももう飛ばせないので、彼らに機体を見せてあげた。
楽しそうに触っているので、飛ばせないお詫びにもう必要なくなったプロペラをプレゼントしてあげた。

僕が逆の立場だったらこんなもんいらんと思うが、子供は工夫して遊ぶ。
頭に乗せて「タケコプター」の真似をしてみたり、棒に刺して回して遊んだり、ワッキャワッキャと。

この日も学校を訪ねたが、さすがに大晦日なのか休校。
帰りに声をかけられたので、地元の人の家にお邪魔してビールと獲れたてのカニをご馳走になった。
エッグベネディクトとチャーハンのローテーションに飽きていたので、ご馳走だ!美味い!
気を良くした僕は、この日東京から来た友人と合流して一緒に大晦日のパーティーにも参加。
地元の人は僕のアイコスに興味津々で、充電が終わる度にみんなで回し吸い。
その姿はまるで非合法ドラックのようだが、ただの電子タバコなのであしからず。

その後はバンガローの年越しパーティーでカウントダウン。
盛大に花火が打ち上がり、2017年を迎えた。

翌朝、日の出前に起床してビーチに行くも、誰もいない。
昨日飲み過ぎたのか、初日の出に興味がないのかわからないが、僕らしかいなかった。

この日も厚かましいという言葉は忘れ、例の地元の人の家に再度お邪魔した。
最後に色々ご馳走になったお礼に、子供が気に入っていた僕の帽子をプレゼントした。

最初はどうなることかと思ったが、ドローンと島の子供達のおかげでとても良い思い出ができた。
次回は南側に行ってパーティー三昧をしたいが、帰りにドローンを持ってまたみんなに会いに行きたいと思う。

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